武漢肺炎騒動に関しての所見

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保守とは何か。
その起源は、フランス革命の際、頭に血が上った人々に対して、
「落ち着け」と諭した態度に端を発する。
しかし、武漢肺炎騒動での「保守」を気取る人々の態度はどうだろう。
日頃、保守を自称する連中には、
ネットワークビジネスだかワンクリック詐欺だかわからないような
商売をしている奴が少なからずいる。
そうした自称保守が、武漢肺炎騒動で人々が不安になっている今、
ビジネスチャンスとばかりにデマを拡散している。

中には「生物兵器?」などと煽っている愚か者もいる。
「?」をつければ何でも許されると思っているのか。
まさか、出典を明記していれば何でも許されると勘違いしているのか。
騒動の際には普通の人でも流言には責任を問われる。
ましてや、言論を生業とする者をや。
そもそも、ネット言論人で
地上波や大新聞などマスコミを批判していない者はいない。
語尾を濁せば何を言っても許されるなら、既存メディアと同じではないか。

思い起こせば、東日本大震災で原発に対する人々の不安が広がった際、
科学者の肩書を使って「パニック商法」で儲けた輩がいる。
普通の人は、科学に対する正確な知識など、あろうはずがない。
だから本当のことを知りたいと思う。
それが命や健康にかかわることなら、なおさら。
ところが、大震災の際は、正確な情報など得られるはずがない。
そんな人々が不安がる時に、「心配だ」と科学者に言われれば、
不安は拡散される。
そして、その「科学者」の本を買う人もいるだろう。
「科学者」は講演やその他のやり方でも儲けることはできる。
以上、すべて法律に触れることはない。
ただし、道徳的には真っ黒だ。
法律に触れなければ何をしても良いというのは、
最低の道徳だ。
こんなことから説かねばならない保守業界には、
うんざりする。

こんな時だからこそ、私は自分で参考になる情報を探している。
その中で、現時点で最も科学的に専門家がわかりやすく説明してくれた資料。

15分でわかる新型コロナウイルス (2019-nCoV)感染症 

事実に基づいて理路整然と説明してくれるので、わかりやすい。
何が起きるかわからないからこそ、正しく警戒しよう。
パニックは一番よくない、と考えた。

もう一つ、考えさせられるのが、これ。
岩田健太郎神戸大学医学部教授のツイッター。
岩田教授は、感染症の臨床では有名な人だとか。
政治思想はリベラルとのことだが、医学に政治思想は関係ない。
その岩田教授のツイッターから二点。

その一 西村幸祐氏の発言に対し、デマ認定。

その二 古森義久氏の発言に対し、デマ認定。

西村さんにしても古森さんにしても、「デマ」と言われたのだから、
専門家を黙らせるだけの根拠を示すか、それができないなら訂正と謝罪をした方がいい。
それが言論を生業とする者の務めだと思う。

断っておくが、西村さんにも古森さんにも、何の個人的恨みも無い。

西村さんは知っている人で、仲は悪くないつもりでいる。
古森さんは一面識も無い。
という前提なので、
今回ばかりは「倉山は保守に対する私怨で悪口を言っている」
という開き直りをされても困る。
むしろ、絶対に「私怨」のレッテル張りをできない人物こそ選んで
あえて俎上にのせたので。
言っていいなら、
人格攻撃以外できないような人間がデマを拡散して便乗商売しているので腹が立つが
あえて抑えた。
純粋に言論の問題。
さらに断っておくが、西村さんや古森さんがデマを流したと言っているのではなく、
公の発言に対する専門家の批判に対しては、反論するか謝るかのいずれか、
と指摘しているだけなので、あしからず。

また、私も自分だけが清廉潔白だと誇示したいわけではない。
岩田教授は、古森さんが直接引用しているワシントンタイムズの記事を
「デマ」と言い切っている。
同記事はチャンネルくららのツイッターでも紹介している。
chくららのツイッターには色々な意図があるが、
「みんなが知りたがっている問題に対して、情報を提供する」
という機能もある。
その中で、「こういう意見も流れている」という意図で同記事を紹介した。
同記事は、イスラエルの軍事専門家の意見の紹介記事。
内容はかなり踏み込んでいる。
同時に、
「不必要に動揺しないように」との意味を込めて、
通常のインフルエンザの死亡者数も紹介した。

この点は、
岩田教授のデマ認定の根拠がツイッターだけではよくわからないので、
詳しく知りたいとは思う。

自分は、医学に関しては素人だが、
武漢肺炎に関しては関心を持っている。
そして自分も言論を生業とするからこそ、
無責任な言論をする人々には警戒心を持っている。

読者諸氏、考える材料にしていただきたい。

「武漢肺炎騒動に関しての所見」への9件のフィードバック

  1. 倉山先生は文明人だ
    決して今回の肺炎を軽視しても良いとは言いませんが
    保守だけとは言わないが無責任でブラック企業のような
    物言い、そして政府独裁万能論の様な非現実的な
    意見が見られ意気消沈してしまいます。

    倉山先生…もし憲法を変え自衛隊を明記すれば今回の
    様に、体は大人頭脳は子供の煽動家達が自分の商売
    と自尊心の為政府に難癖をつけ戦争と言わなくても
    衝突が起こってしまい若者・後輩達がが死んでいきそうで
    気分が落ち込みます。
    「若者は戦死・老人は逮捕」の様な地獄に日本を自由と
    国益の為にしてはいけないと思います。

    あくまでも今は金融政策・雇用・成長など経済を第一に
    した方が良いかと。

    1. 意見を言う時は医学的根拠を示す。分からない時は分からないと言う。医師の基本。

  2. ワシントンタイムズ紙じゃなくてハーレツとかイスラエル紙だったら、イスラエルはわれわれの知らないことを知ってそうだと思うのですが、どうなんですかね。

    前々から武漢の研究所の経緯を苦々しく思っている人は、やっぱアレかーと飛びついちゃいますが、現時点で生暖かい目で見守るのが妥当なんでしょうね。

    パンデミックがおさまるまでは武士の情けで、収まったら米仏があることないこと言いそうで楽しみなので、生き残りたいです。

    1. 「バンダとジョネラ」ファンなんですが、当分なしですかねぇ。

      坂東さんは、平時と緊急時のメリハリをつけてパンデミックが収まるまでは抑制的にいけば、さすがということになると思うのですがちょっと残念。コロナウイルスで「生物兵器」はまずいでしょ。

      北京発表の言ってることはここがおかしい、ウイルスの発生源や宿主についていまだ説得的なデータが出ていないので、あらゆる可能性を考えなければいけない。2004年に2回漏らした前科があるので、前科があったら刑事は疑うことが仕事なんですぐらいにしておけばいいのにと思う。

      フランスはかなり溜まっているでしょうからパンデミックが収まったら絶対にやってくれると期待してます。

      中国、緊急事態宣言の回避でWHOに圧力か 仏報道
      https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55009360Z20C20A1EA1000/

      平時と緊急時の区別なく平壌運転をやっているのは、北京も同じですね。

      1. 軍オタやお医者さんからネット陰謀論メディアの指定を受けているJBPRESSさん。(確かにアレなライターさんも抱えていますが)

        杜祖健博士のコメントが出てますね。

        燻る「新型ウイルス=生物兵器」説、専門家が解説
        https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59197

        さすが冷戦を戦い抜いてこられている方は旧ソ連のスべルドロフスクの事件から入るのですね。
        台湾のBSL-4施設でもSARSのお漏らしがあったとかなかなか笑えないお話が。

        イスラエルと台湾の識者が踏み込んだことも平然と言うのは国土に縦深性のなくバイオテロで国が亡びかねないことへの危機感があると思います。

        生物兵器とバイオテロは違うと思うのですが、中台関係を考えると侵攻前にバイオテロというのは戦術として確かにあるなぁと。

        このまま発生源や宿主について説得的なデータが出てこないと、パンデミック終了後にはポリティカルルーモアの季節になりそうですね。

        日本は「良い警察官」のポジションで生暖かい目でチャイナ共産党のサバイバルをウォッチすればいいのではないかと。

        チャイナにおけるチェルノブイリ+大韓航空機撃墜みたいなことになるかもしれません。

  3. 本業が何であれ公の場で発言するポジションにいる方々は、蓄積された情報の扱い方、根拠を探ること、比較すること、俯瞰することなど、学問における基本的手続きだけでも絶対に身につけておいて欲しいと思います。

    何も倉山さんのようなプロの学者でなくても、こうした手続きが身についておられる方々は、たとえば実務を軸にしておられる渡瀬裕哉さんにせよ、自称「商売人」(笑)の上念司さんにせよ、今回の件に関して冷静かつ極めて的確なご指摘や、情報発信をされています。

    今回のような切迫した問題が起きたときには、その人がまともな手続きで思考できている人なのかそうでないのかの違いが、結果的にかなり極端な形で現れてしまいがちなのでしょうね。上念さんの見解を「正常性バイアス」と捉えてしまうような番組が多いなか、チャンネルくららを見ると「ああ、まともっていいなあ」とホッとします。

  4. 上記スライド、理路整然としていて大変ためになる内容です。
    私は白血病患者かつ同居家族が高齢な病人なので、健常者の方々よりも怖がりながら生活したいと思います。引きこもって仕事が出来る個人事業であることが幸いです。

    その上で、参考にする上で考慮すべきかもしれないと思ったことを挙げます。
    ・症例や死亡率を算出する上での統計が参考になるのか?
    →中華人民共和国政府では、そもそも診断を受けられない患者が多く、診断を受ける前に死亡した場合は武漢肺炎が死因であったとしてもカウントされていないという石平氏の指摘があります。
    ・変異による凶悪化の可能性。
    →上念司氏の仰るように、「感染に感染を重ねると変異する確率が上がる」ということを考えると、更に凶暴なウイルスに化けることを覚悟すべきかと思います。インフルエンザでも同じかもしれませんが。

    その他の注目点。
    ・免疫による治癒。
    →現時点で海外での死亡例が確認されていないことからも、特効薬がなくても衛生環境しっかりしている環境でじっくり休めば回復する可能性が高いかもしれないという点に希望が見いだせます。
    ・インバウンドに頼る風潮から方向転換する契機。
    →このような事態が起きてしまった場合や意図的に起こされてしまった場合のリスクがはっきりしたと思います。人権や差別を盾に国益を損ねることを推進している人々へ再考を迫る絶好の機会であるように思います。

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