城山三郎が賛美する人々

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城山三郎。経済小説のさきがけである。私の専門である昭和史で言えば、濱口雄幸と井上準之助の友情を描いた『男子の本懐』など、筆力はすばらしい。二人の非業の最期を描く描写など、感涙すらそそる。どこまで事実でどこまでが創作かの境界が不分明になるほどである。これは歴史小説家に対する賛辞のつもりである。まあ、濱口や井上ならこういうこと言いそうかな、と思わせられるという意味で。

この筆力と言う点では、悲劇の外交官とされる廣田弘毅を描いた『落日燃ゆ』などは、嘘だとわかっていても(←ここ重要)泣けるのであるから、文章力は圧倒的である。

事実関係に関しては、政治家賛美本の白眉とも言うべき、あまりにもあまりにもな信憑性だが。 続きを読む 城山三郎が賛美する人々

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