華々しく散って来い！葬式は盛大にあげてやる！
よくよく考えたら、すさまじく無責任な励ましである。平成十年自民党総裁選に際して、江藤隆美が梶山静六に出馬を促した際の台詞である。で、江藤さん何をしていたかと言うと、テレゴングをひたすら押しながらテレビ世論調査の「首相になって欲しい人ランキング」で梶山の順位をあげていたという。･･･本人も竹下に追い詰められて何をして良いかわからずにせめてもの思いで、、、と述べている。何もしないよりはマシか。ちなみに江藤さん、カストロ＆チャベスとのスリーショット写真を回顧録に載せるようなお茶目な方である。これをやってフジモリはアメリカ（オルブライト）によって失脚させられたのだが。。。
あと、１９９８年は平成十年です。すみません。などと軽い話ではじめますが、以下はひたすら異様な話ばかりです。当時、私がウォッチングしながら感じた異変を御伝えできればと思います。なぜそんなウォッチングをしていたかと言うと、まあ事情があったのです。その辺りの記録は将来は国会図書館の「憲政資料室」で公開できるようにします。本当は当時の独自取材が山のように入ってる記事ですけど、一応公開情報のみを証拠としています。この長ったらしい記事の最後まで読めば何となくわかるでしょうけどね。
橋本内閣は参議院選挙にまさかの大敗北。総辞職に至った。後継を選ぶ自民党総裁選挙には、小渕恵三・小泉純一郎・梶山静六が名乗りをあげた。永田町の常識では、大本命は小渕、梶山は泡沫と思われていた。ところが。。。
さて、この時の総裁選挙、すべてが異様だったのである。まず週刊誌には「梶山以下三人の代議士がアメリカ大使館に呼ばれた」とか平気で載っていたし。梶山出馬は、細かい立証は省くが、田中角栄の権力樹立以来優勢だった北京派に対するワシントン派の最初の反撃、と考えて良いだろう。ちなみにこの場合は、ウルトラ親中派のクリントン政権中枢とか、前身のOSSの段階で共産主義者に乗っ取られていたCIAの如き無能者組織ではなく、国務省＆東京大使館の意向と考えるべきである。
５５年体制は、９８年を境に変質する。９８年までは、三木武夫と竹下登が関わらない限り、相手を抹殺するまでやらない八百長なのである。９８年以降は、加藤紘一が迷い出ない限り、相手を抹殺するまでやる真剣勝負である。
平成十年総裁選では、実質的に竹下派（その頃は小渕派を名乗っていた）の属領と化していた旧河本派以外のすべての派閥が分裂しているのである。数が多いほうから以下。
小渕派･･･小渕恵三（竹下直参）対梶山静六（を含めて３人）
三塚派･･･小泉純一郎（竹下に命令されて出馬）対亀井静香（派閥分裂）
宮沢派･･･加藤紘一（前橋本内閣で主流派）対河野（この時のみ「愛国心」を絶叫）
旧渡辺派･･･山崎拓（前橋本内閣で主流派）対村上正邦＆江藤隆美（タカ派で有名）
結果、小渕の当選は予想通りだが、梶山は基礎が三票なのに大健闘で百二票の二位。小泉は自分の派閥すら固めきれずに最下位と政治生命の危機に追い詰められた。なぜ？今後の歴史家の課題であるとしか言いようがない。三十年後に米国が公文書を公開すると相当のことがわかろう。
さて、しばらくは小渕はひたすら根回しだけで支持率を上げていく。小渕の悪口を書くと、どんな無名のジャーナリストのところにも小渕本人から電話が来るのである。ただ根回しでも参議院の劣勢は回復できない。公明党も連立を要求してくる。そこで、いきなり宗教政党と手を組むと反発が強烈なので（実際に自民支持層が相当離れた）、まず自由党と手を組み、ついで公明党も引き込んだ。この時点での小沢一郎自由党党首は、竹下の軍門に下った姿勢で、内部から自民分裂を策していたのは確かだろう。
よく、「小沢との連立は竹下の影響力低下の証拠」「野中がNEC疑惑で竹下を脅して黙らせた」などとの解説を目にするが、嘘だろう。ならばなぜ竹下の葬式に財務事務次官が一人で駆けつけるのだ？確か島根まで行ってなかったか？本当に過去の人ならばそんな必要はあるまい。竹下の後継者の眼を気にしていたからの行動以外ありえまい。むしろ当時、野中がはしゃぎすぎて竹下に土下座させられる話が載っていたが、その方がまだ信憑性はあるか。この辺り、大宅壮一文庫に行く時間があればきっちり立証できるのだが。
竹下の影響力低下の原因は明らかで、病気である。その結果、平成十一年十月五日、またもや異様な事態が発生する。青木幹雄官房長官の就任である。この速報を聞いた時、「永田町の権力中枢で何か異変が起きている」「とうとう竹下が裏の側近を表に出した」「青木は神か悪魔かのどちらかでしかない」と直感したものである。以後、内閣を青木が取り仕切るようになる。
青木は学生時代から大学を中退してまで竹下の下に馳せ参じた側近中の側近であり、所謂「バッジをつけた秘書」である。彼の弟も竹下の秘書である。竹下派分裂騒動で、有能なメッセンジャーボーイを努め、小沢追い出しの最大殊勲者でありながら恨みを野中に向けさせていた。そしていきなり参議院からの官房長官登用である。こんあ経歴の人物が重要人物でない訳がない。
そして小沢自由党党首が散々無理難題を吹っかけたあげく連立離脱をしたことで小渕首相が病気で倒れたことになる。しかし小渕が倒れた直後に普段は絶対に説明をしない小沢が事情は違うと言い訳する。その要旨は「自民・自由の同時解党による新党結成」だったそうである。小渕はそれを飲めずに苦しんだとのことである。
小渕の「遺言」を青木が聞いたことになり、五人組が密室で次期森総裁を談合したことになる。今、世間に出ている情報だけでもこの一連の騒動をさりげなく動かしているのは青木であるとわかる。最大の証拠を挙げると、この五人組の談合なるもので「森さんで行きましょう」と宣言し、しかも続けて官房長官に留任しているのである。この過程で野中は追随している。
竹下も小渕とほぼ同時期に他界する。権力の真空地帯が発生する。
さて、当時考えていた「北朝鮮に拉致された中大生を奪還する条件」を本邦初公開。
一、大売国奴竹下が健在の内は、とにかく拉致問題の存在を日本中に広めるしかない。
二、竹下の側近でありながら実は面従腹背の実力者に、拉致問題の重要性を認識させる。
三、竹下死後の跡目争いに乗じて親中派を駆逐し、親米派政権を樹立する。
四、その時には、民主党の政策転換よりも共和党のしかも相当な親日政権の可能性が高い。
つまり、●●が●●を担いで、●●や●●を総裁選で打倒するしかない、と考えていた訳です。ちなみに最初の●●が最も重要なのです。他の三つは入れ替え可能なので詮索自体に意味がありません。ついでに言っておくと、「村岡じゃねえ〜」が一時期の口癖。
平成十年総裁選以降、親米派と親中派の対立と見ています。米国にも親中派がいるから困るのですが。永田町だけで永田町のことを決められない、それが日本現代政治の特徴です。
久々の登場でございます。何せ最近PCの調子が悪かったもので（実はまだかなり悪い状態です）。
梶山さん、先輩なんだよなぁ…個人的には結構好きな政治家だったんですが、あの後、加藤六月だったかと壮絶な争いの末、早々に亡くなられたんですよね。あの争いの真相はなんだったのか、今でも時々気になることがあります。
さて、まぁ本題からはかなり外れますが、現在京都では御所の秋季公開をやっておりまして、2年半ぶりに本日出掛けて参りました。今年は今上帝のご即位20周年ということで、普段は公開していない後宮も見て参りました。かなり多数の見物人が詰め掛けていたのですが、やっぱりこういうのを見ると、一部の狂った自称知識人がやーやー言ったところで、国民が皇室の存在に求めるロマンにはかなわないんだろうなぁ、と感じてしまいます。
ただ、ご即位20周年というのは確かにめでたいことではありますが、それは即ち先帝崩御20年という意味でもあるわけで、そのたびに今上帝はご父君を亡くされた悲しみを思い出されるのでしょうから、国民としてはやや配慮した方が良いのかも知れないな、とも思います。
御所参観のあと、白峯神宮がその近くにあるということで、そこにも参拝して参りました。御苑の北端、今出川通を西に10分ほど直進すると社殿に到着します（お気づきの方も居られるかも知れませんが、実は私のHNは、ここのご祭神から拝借しています＾＾；）。この世に深い恨みを残して亡くなられたといわれる両帝ですが、社殿からはそんな怨念の類は全く感じるところはなく、閑静な町中にひっそりと佇んでいるといった趣でした。ただ、現在この神宮はスポーツの守護神ということで、多くのJリーガーや野球選手の信仰も集めているそうで（余談ですが、阪神久保康友のボールやイーグルス藤原の絵馬も奉納されていました）、そうした情熱や闘争心を持った人々が信仰しているあたり、ここのご祭神たる両帝にはふさわしいのかも知れません。
現状では日米政権とも親中、民主党！？条件四の達成はまだ先だなあ…
倉山さん
お早うございます。藤沢秀行です。
前回の反省を元に一晩寝てから書き込みさせて頂きます。
今回の話、気持ちが入っている（楽しそうに書かれている）のが伝わってきますよね。自身書いててつまらないと話されていたシリーズ6回目と、はっきり違いますものね。
国際情勢の中で国内政治を語る、言うまでも無く大切ですよね。私自身も会社員なのでと言わずにきちんと勉強しなくてはいけないですよね。
青木幹雄、いよいよ本格登場ですね。今日の話はまだ序章と言った感じでしょうか。毎回書いてますが、次回が楽しみです。
この時期を思い出していたのですが、改めて見るに、青木幹雄と村上正邦との関係とはどういったものなのでしょうか？単純に敵対関係と見るのが普通だとは思いますが・・・。
逆に言えば、竹下全盛期で村上正邦は、よくここまで強い力を持っていましたよね。単純に当選回数でしょうか。
五人組の森後継総裁（総理）への決定過程は、青木幹雄が宣言したのですか？
巷間言われている話ではこれを主導したのは村上正邦という事になっていますよね。倉山さんの話に間違いが無いとすれば（ある訳無いですよね！）、結論はやはり･･･。
話を変えます。竹下が亡くなってまもなく、KSD事件が明るみに出て、村上は失脚しますよね。何だかなあとも思いますよね。
参議院、恐るべし。やはり来年の選挙は重要ですね。
それでは、また。
NAO様
逆行してしまいました。
次回で竹下編を終わらせて、小泉編に入りたいですけど。
あんまり長くならないように。（笑）
藤沢様
うーん。まだあんまり楽しくはないのですが。（泣＆苦）
国際政治の文脈で日本政治を捉えて欲しいという点は、我が意を得たりです。
村上に関しては、例の事件の出所後は色々と「新事実」が出ていますが。
村上は「参議院の天皇」で、青木が「参議院の法皇」と称されていたのがすべてかと。野中によれば「青木は村上を蛇蝎の如く嫌っていた」らしいとの記事を読んだ記憶があります。まあアクの強さです力を発揮しても、竹下・青木を凌駕する力があったとは思えないので。
さすがに私は無謬ではないです（笑）。五人組騒動では当時は青木が言い出したとされていたような。当時、そう聞いた記憶で書きました。まあ密室のことなので真相は特定できませんが。暇があれば報道の変遷なんかも追ってみたいです。
ちなみに「宣言」の定義はちょっと特殊だったかもしれません。厳密には「最初に言い出した」ではないです。言い出すタイミングとか、他の人から拒否されない状況である、などの要素を勘案しなければならないので。ウィキなどはたぶん、「最初に言い出した」との情報を得て書いているのでしょう。それはそれで事実特定ができれば間違いがないのですが、「言い出して他の四人が拒否できなかった」の意味での宣言は村上には無理でしょう。仮に本当に村上が言い出したとしても、それは「言わされた」「空気を読んで言い出した」であって、「宣言」ではないので。
そもそも当時の力関係に基づく格付けを考えると、一位青木（竹下の真の第一側近・参議院第一の実力者・大蔵族・官房長官）、二位野中（竹下の表向きの第一側近・自民党幹事長）、三位森（党内第二派閥領袖、実は竹下子飼い）、四位亀井（主流派の共同領袖の一人）、五位村上（同じく共同領袖にして、参議院第二位の実力者）でしょう。仮にウィキに書いてあるようなことが事実だとしても、村上は誰かの意図を受けた行動しかとれないはずなので。
次回で自民党の敗因究明、そして竹下死後の大闘争に。
訂正。野中はこの時点で幹事長代理ですね。森喜朗が幹事長なので、実質的には幹事長みたいなものですけど、一応ごめんなさい。
倉山さん
こんばんは。藤沢秀行です。
対応有難うございます。
丁寧にして頂いてかえってすみませんでした。
「結論はやはり・・・」の意味は、「倉山さんの言うとおり青木幹雄の宣言で」というのもそうですけど、それ以上に黒子役に徹する青木の流儀と合わせれば、彼が決めたにも拘らずそれがそのままマスコミに流れるのは嫌だから村上が言った事にして流す（リークする）ことをやったのかなという事でした。
倉山さんの事ですので、そのあたりの事情もご存知なのかもしれないと思ったのと、いきなり露骨に書くのは大それているのと文章として芸が無い意味も含め、「・・・」で表現してみました。
余談ですけど、夜のニュースなどでよく匿名の自民党幹部とか中央省庁幹部が出てきてもっともらしい本音のコメントが出てくることがありますよね。
あれ結構あからさまで逆に見る分には楽しい時ありますよね。
いったい世論って何なのでしょうね。
惑わされないためにも、きちんとした知識とヨミが必要ということなのでしょうね。
有難うございました。
またよろしくお願いします。
叔父さんの息子さんにやや関連しますが、東京国立博物館で開かれている「皇室の名宝」展に出ていた、鏑木清方の「讃春」は全く以て不可思議な絵でした。二重の意味に解されることを承知の上で出したとすれば、このことを政治家はどうとらえるのか聞いてみたい気がします。