第一次大戦の勃発は必然ではないです。
何一つ合理的理由がないのですから。
『レクサスとオリーブの木』なんかが「経済的に相互依存していれば戦争は起きない」とかいう言説を撒きちらすのですが、それには前提があります。
お互いが合理的経済人であることです。
つまり最低限「戦争したら損だからやめよう」という計算ができなければならない訳です。
では第一次大戦前のヨーロッパは?すべての国が英独二大国と緊密な貿易関係にありました。
ところが、バルカン半島の小国は「自分が不幸でも他人がもっと不幸ならば幸せ」という、合理性のかけらもない連中です。だから二度のバルカン戦争を六大国で止めたら、今度はセルビアが大国のハプスブルクに喧嘩を売るという有様で不幸は拡散されました。
逆に第二次大戦は、ヴェルサイユ体制はドイツ抹殺体制なので、ケインズ博士などは「これは必然的に次の大戦を招く」などと予言したほどです。
では第二次大戦におけるドイツの戦争目的は?
ヴェルサイユ体制の打破・生存圏の確立、です。
最終的には(米英よりも)ソ連にひどい目に遭わされて、国家分裂亡国の憂き目を見ました。
ただ、第一次大戦後のワイマール共和国の惨めな有様と比べればどうだ?という話です。
ワイマール共和国と東ドイツ、どっちが悲惨かという論争も必要かもしれませんね。
それくらいワイマール共和国には何一つ良いことがなかったです。
ヒトラーがミュンヘン会談でやめておけば、ビスマルク以上のドイツ史に残る偉大な政治家として終わったでしょう。
例のユダヤ人への迫害が激化するのもこの後ですし。
忘れてはいけないのは、ヒトラーはユダヤ人以外にも大量の残虐行為を働いています。
敵国人や反逆者だけでなく、ドイツ国民でも同性愛者や身体障碍者も「生きるに値しない命」として片っ端から殺していますから。
またユダヤ人を殺しまくった大悪人と言えばスターリンを忘れてはいけないですし。
日本だと「ヒトラーがユダヤ人を殺しました」とアホの一つ覚えみたいに覚えさせられるのですが、条件反射的にそれしか言えないとユダヤ人の前で恥をかきますから。
結果的には大国のクセに敗戦国、なのですが、ワイマールの悲惨さを抜け出したのでマシ、
という評価はまずいのでしょうかねえ。