さて、今回の表題にあたる人、三人出てきます。
※「卑怯」=昔の武士ならば、いかなる温厚なあるいは冷静な人でも、この一言を浴びせかければ刀を抜くような、最大級の罵倒語。
産経一面、またもや小島優記者の、このまま廃案に追い込めば歴史に残るに違いないインタビュー。小島さん、チャンネル桜の濱口キャスターと防衛大学校以来の親友だそうです。
「外国人参政権判決は金科玉条ではない」園部元判事の証言要旨
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100219-00000507-san-pol
「政治的配慮あった」外国人参政権判決の園部元最高裁判事が衝撃告白
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100219/plc1002190020000-n1.htm
この園部と言う判事、ご存知の通り例の皇室典範有識者会議で無識ぶりを炸裂させましたが、
法学者の間では愛媛玉串料訴訟でも愚かな少数意見を述べているので有名です。
以下、判決原文。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25515&hanreiKbn=01
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/314AB12A8310819649256CE700478EDC.pdf
普通の人にわかるように要点を言うと、この最高裁判決そのものが意味不明にとんでもない上 に、園部裁判官はさらに一人だけ愚かな意見を付け加えているのです。
どこが?彼の発言のどこをどう見ても単に言い切っているだけで、「なぜそういう結論になるのですか?」に関して答えていないからです。まじめに解説すると、それだけで90分の授業になります。
本題に戻ると、この期に及んで「実は最高裁の判決で政治的発言をしました」って。。。
彼の発言を要約すると「時代の風潮で判決を動かすべきだ。あの時は賛成だったので傍論に入れたが、今の法案には反対です。(やはりまずそうだから)」となります。
もしかしたらこの人、卑怯なのではなくて、純粋に頭が悪いのでは?と思えてきた。
ちなみに裁判員を務めた人(一般人)がこのように裁判の協議内容を暴露すると違法行為です。元裁判官(プロ)がこのようなことをしても、単に「不道徳な人」です。すさまじい法体系の欠陥ですが。
次に、日銀総裁のすさまじい発言。
インフレ目標に難色 日銀・白川総裁
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/153334
<日銀>白川総裁 政府・与党の金融緩和圧力をけん制
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100218-00000134-mai-bus_all
見出しをみただけで失神しそうなひどい内容。どこから突っ込みを入れれば良いのかわからないくらい。
一言で白川発言を要約すれば、
「格差社会よ永遠なれ」「プアワーカーよ死ね」「濡れ手に粟が出来るばくち打ちだけが万歳」といった所。
というか、日銀の独立性って、いつから政府の政策決定を牽制できるようになったのだ?
「決められたことの細かいやり方について政府に口を出されたくない」がその内容であって、
政府の大局的な意思決定に介入して良い訳ではないのは常識ですが。
昨日の「進言」もそうだけど、マスコミは異常を異常と言い続けなければ、価値観の倒錯が起きるので気をつけるべきでしょう。
(ちなみに今日の『産経』は「鳩山首相、小沢幹事長に“進言”」と“ ”がついていた。)
なぜ、上記のような要約になるかというと、すべての諸悪の根源はデフレにあるからです。
デフレとは「物の価値(汗水流して働いた結晶)<お金(しょせんは紙切れ)」という状態なのです。
亡国前夜の主題である90年代の竹下院政絶頂期から、市場に出回るお金の量って、ほとんど変わっていません。
ということは、お金が稀少になるので相対的に物の価値=汗水流して働くことの価値が下がるのです。
ということはをさらに続けると、一か八かで大当たりしたITバブル長者みたいな人だけが報われるようになる訳です。
つまり、現在の長期不況(正確には、景気が少しばかり回復しても庶民が実感する前に次の不況が来る)とか、格差社会の固定とかは、ほとんど人災に近いのです。
以上の話、まともな経済学では議論の余地も無く終わっている話です。
はっきりいって小学生でも理解できる程度の簡単な話です。
そして、打出の小槌のような明確な解決策は一つあります。まだ間に合います。
では、なぜ偏差値秀才の集まりである日銀がまともな政策をできないのか。
理由一 実は偏差値秀才とは社会に出たらまったく使えない小学生以下の集団である。
理由二 経済的要素以外の理由で正しい政策を実行できない。
あまりにも乱暴な議論にあるし武士の情けで、理由一ではないとして話をしましょう。
可能な限り彼らの言い分をまとめると、
「ハイパーインフレはないにせよ、一定以上のインフレになった時が恐い」
「やり方を間違えると政治の介入もしくは無策で何をされるかわからない」
「現に赤字国債の発行でも、佐藤内閣は長期政権だったのでうまくいったが、三木内閣はやりっぱなしで今の財政赤字」
あたりですか。これでも無理やり読み取ったりましたが。
つまり、経済ではなく政治や行政の問題ということですね。
それを認めたとして白川総裁の発言をよく読むと
日銀の手法は「現状では最適」
とかあります。要するに、日銀無謬説ですね。
日銀って上手くいけば自分たちの手柄で、失敗したら内閣や財務省の責任で逃げるから嫌いです。「有力で責任がある」「無力で責任が無い」のどちらかしかありえないのですが、白川総裁の発言ってこれに限らず読めば読むほど「有力で責任は無い」なのですね。
三年生から就職活動しているのに四年生の今になっても内定が取れない人とか、
正社員より仕事が出来るのに何年も給料を据え置かれている非正規社員人とか、
こういう老害の存在を知った方が良いと思う。
世の中「最近の若い者は、贅沢言うから仕事が無いんだ。努力が足りない」という意見が溢れていて、かなり当っているのだけれども、
「では貴方にそれを言う資格があるのですか?」と問い詰めたい人も多い訳です。
たまたま時代の巡りあわせが良かっただけで、今の時代に生まれていたら絶対に内定が取れないような人材が管理職をやって採用人事とかやっているというのが現状なので。
ちなみに「打出の小槌のような明確な解決策」とは?
上念司『デフレと円高の何が「悪」か』 (光文社新書、2010年)
をどうぞ。
著者は大学の先輩で手前味噌になるので宣伝しなかったのですが、白川総裁のあまりにもトンデモな発言に対抗する意味で紹介させていただきました。
真面目に読めば、小学生にもわかる経済学の本です。
最後に
【単刀直言】「渡部恒三さんが“反小沢”を助長」平野貞夫元参院議員
http://sankei.jp.msn.com/topics/politics/5341/plt5341-t.htm
「皆さん、私心無く小沢さんと話し合いましょう」と主張している。
翻訳すれば、小沢の権力を脅かすことなくということか。
「普段はあの人は東北人で口下手だから」などと言い訳していながら?
この種の発言、東北人は怒るべきであろう。東北人は民主制では政治家になるなと言っているのに等しいので。国会議員は国民の声を伝え、政治に反映させるのが仕事でしょ?
あとこの平野氏、政治のプロ中のプロと言われるのですが、『昭和天皇の「極秘指令」』(講談社、2004年)などという、不敬極まりない本を出版しています。
要するに、非核三原則は昭和天皇の意思であり、前尾繁三郎衆議院議長は成立に向けて「密命」を受けており、その話を平野氏だけが聞いていたとのこと。
つまり伝聞の伝聞です。百歩譲って事実だとしても。
ちなみに歴史学の史料批判でこのような平野本を事実認定できるか?昔風な言い方をすれば「死人に口なし」です。
勝手に「陛下の意思」を流布させる悪習、何とかせねば。
世の中で専門家と思われている人たちが一皮向けばとんでもない無知蒙昧、という事例を三つ並べました。
「元最高裁判事」「日銀総裁」「プロ中のプロと呼ばれた参議院議員」とかの肩書ではなく、
その人が何を言ったか、何をしたかによって判断する眼を養わねばと思う。