「誰も教えない時事と教養」カテゴリーアーカイブ

千葉法相続投反対の根拠と「陛下の野党」が採るべき手段

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 ウィキペディア「国民主権」の項によれば、宮沢俊義・芦部信喜・樋口陽一ら日本国憲法学の権威の方々に対し、なぜか英国憲法の専門家として扱われている倉山です。(?&爆&汗&照)
↓を学生から教えてもらうまで知りませんでした。。。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E4%B8%BB%E6%A8%A9

 さて、<参院選>落選した千葉景子氏、法相は続投 菅首相が方針
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100712-00000064-mai-pol
などという報道がありました。
この書き方、仙谷官房長官の進言ですね。

 落選した千葉法相が続投することの是非に関して、本質的な面と現象的な面から、二つのことを書きたいと思います。もちろん、私は続投に反対です。

 一つめの本質に関してですが、議院内閣制の根幹に関わることです。
内閣を長とする行政権と、国会が司る立法権は分離しています。権力分立です。
では国会の仕事とは何か。
美濃部達吉博士によれば、三つあります。
法律を作ること、予算を作ること(税金の使い道を決めること)、行政を監視すること、です。しかし、国会議員よりも専門家の官僚の方が法律や予算に関して詳しいのは宿命的にやむをえないでしょう。すべての議員が、内閣法制局よりも法律に詳しい、財務省主計局よりも予算に詳しい、を望んでも仕方がありません。
ならば、国会議員にしかできないことは何か。それが行政権力、すなわち役人の監視です。
では、究極の行政への監視とは何か。行政権を司る内閣の最高決定権者である大臣に国会議員がなる。つまり、国民に選挙で選ばれた人が大臣として行政を監視することが議院内閣制の趣旨です。これを英国憲法では、「権力分立」に対して「権力融合」と言います。(←なぜか日本では教えない)

 英国ではこの原則は徹底しています。
憲法習律で「総理大臣だけでなく、すべての大臣は衆議院議員でなければならない。」とされます。民間人大臣は否定されます。それどころか貴族院議員も大臣になれません。選挙で選ばれていないからです。それどころかヒューム卿などは、首相就任の条件として爵位を返上し、総選挙に臨んでいます。
ちなみに「憲法習律」が何だかよくわからない人はこの砦の過去記事を読んでください。要するに「破ろうと思っても破れない不文法」くらいの理解で大丈夫です。

 それでは現在の日本ではどうでしょうか。
日本国憲法第五章「内閣」の規定は、今の憲法の中でも比較的まともな部分です。
金森徳次郎憲法大臣(そんな大臣がいた!)や佐藤達夫法制局長官のような、当時最高の法律家の主導で書き込まれた部分です。実はケージスたちアメリカ人はよくわからずに「とりあえず条文にしといて」しか言っていない部分です。金森さんや佐藤さんも、「書き込まなくても良いけど、書き込んで悪いものではないので」と条文化した部分です。
では何を書き込んだのか。憲政の常道です。(ただし、戦後政治家たちが無茶苦茶な運用をして今に至るのは「亡国前夜」の通り)
議院内閣制を運用した戦前日本の「憲政の常道」の成文化が日本国憲法第五章です。

 日本の参議院は英国の貴族院と違い、選挙で選ばれた人たちです。
その意味では大臣になっても構わないという考え方もあるでしょう。なれるかどうかの議論なら、もちろんなれます。ただし、なるべきかどうかの議論ならば、なるべきではありません。
与党のボス政治家が総理と大臣の椅子を取引することにより子分への統制を行う弊害もあります。
しかし、参議院にしかできなことは衆議院の監視です。
内閣と融合した衆議院との取引は、この本来的な役目への阻害要因であるからこそ差し控えるべきです。

 よって、千葉法相の続投は、絶対にやってはいけない訳ではないが、望ましくはない、です。

 ではここでもう一つの現象面の話にうつりましょう。
なぜ仙石官房長官や菅首相は、あえて千葉法相を続投させるのでしょうか。

 今の日本で何が起きているかを知りたい方は、私の6月19日の記事を参照してください。要するに、「本気で増税をしたいならば、菅首相が選挙前に言い出すのはおかしすぎる。世間では財務省悪玉論を唱えているが、雰囲気が違う。」と疑念を呈して置きました。また、「菅首相はよくわからずにしゃべっている、少なくとも自分の言葉になっていない。」のは選挙中のブレまくりを見れば明らかでしょう。
そして19日の記事では「マニュフェスト起草委員会(日教組&自治労)と日銀が消費税増税を推し進めているのがミエミエ」とだけ言い切っておきました。
もはや公開情報(と言っても普通の人は入手できないでしょうが)になったので断言します。

菅首相に増税発言をさせたのは、

仙谷副総理兼官房長官です!

 仙谷由人とは何者か。小沢一郎氏と対立しているのでタカ派だと勘違いしている人もいますが。元は筋金入りの極左弁護士です。嘘だと思うなら「麹町中学内申書事件」を調べてください。土井たか子側近です。よく映像で出ますが、いっしょに「クイズダービー」に出ていましたね。民主党では前原国交大臣の派閥を引き受けるなどタカ派的言動が目立ちますが、要所要所で亡国売国的行動をとっています。
白川日銀総裁人事の主導者ですし。
最近も日韓基本条約を蒸し返して「慰安婦に謝罪を」などと言い出しています。で、仙谷長官がどんな言動を取ろうとも絶対的な不信を捨てない理由は、彼が自治労の利益代表だからです。

 選挙前を思い出しましょう。
「小沢斬り」演出で、菅内閣は大勝も可能な情勢でした。
本気で増税したいなら黙っていれば良かったのです。財務省にとっては菅大臣は扱いやすい政治家ですから。
ところが、菅内閣は「日米同盟重視」を打ち出しました。北京と平壌の代理人にとって不都合な政権です。(ちなみに、これは財務省にとって困らない問題です。)
すぐに退陣に追い込むのも不都合だが、長期安定政権になられても困る。そこで散々「デフレ脱却」路線に傾斜していた菅首相に「消費税増税」などと正反対のことを言わせる。
その瞬間、高嶋良充参議院幹事長が「聞いていない!」と追及。あっという間に菅首相は立ち往生。
仙谷・高嶋の共通点は?どちらも自治労ですね。要するに、菅首相は自治労のマッチポンプ(自作自演)に引っかかったのです。
かくして菅内閣は自治労に生殺与奪の権を握られてしまいました。
これは白川法王と日銀貴族にとっても、極めて都合が良い状態です。

 さらに選挙前の客観情勢を思い出しましょう。

輿石東参議院会長・・・日教組利益代表。落選の危機。
高嶋良充参議院幹事長・・・自治労利益代表。引退確定。
千葉景子法務大臣・・・亡国三法案の司令塔。実は日教組と自治労の票しかなかった。
簗瀬進参院予算委員長・・・仙谷・千葉ついでに福島瑞穂と同様の極左弁護士出身。
江田五月参議院議長・・・戦後レジームの擁護者!極左裁判官出身。

 以上の中で参院戦後の国会に戻れる見込みが堅いのは、実は現住所菅派の江田議長だけでした。「民主党最強派閥の横路派」としては、「一挙壊滅」の危機もあったのです。
少なくとも司令塔不在になりかねなかったのです。
その為の保険が仙谷長官ですね。参院選挙後に何が起きても大丈夫なように、首相官邸(巨額の官房機密費と独自情報網を持っている)を拠点にしていました。
自治労らにとって、いつでもクビを刎ねられる総理など恐くはないのです。むしろ、総理が米国派になびく方が恐い訳です。そのためのエサが消費税でした。
ただ、千葉法相の落選は意外だったのでしょう。
菅首相としても内閣改造に繋がるのを嫌ったのでしょうが、それなら普通は他の閣僚が兼務しますから。異常な人事です。

 ここで亡国三法案とは何かをおさらい。(正式な名称など、連中は手を変え品を変えて出してくるので無視)

外国人参政権法=選挙を通じて日本政治を支配。国会議員や幹部公務員になれたら完成。
夫婦別姓法  =家族制度を破壊。日本人どうしを「万人の番人に対する闘争」状態にする。
人権擁護法  =日本にも秘密警察を作り、国を売らない人間を合法的に摘発する。

 ついでに、デフレ不況を一日でも長引かせれば、日本人の身も心も弱めることができる。

まさに、

自治労・日銀枢軸

こそが日本人の敵ではないのか? 

 危機はまったく去っていないどころか、敵はすぐに態勢を立て直そうとしています。
自民党幹部の浮かれぶりは無視しましょう。(あなたがた、何もやっていないし成功していないのでは?)

 陛下の野党には以下のことを期待します。

参議院議長は野党から出す=江田の首獲り!

は渡辺さんが早速言及し、谷垣さんが追随しているようですが、まだ甘いです。

 みんなの党は、
キャリア官僚制廃止・・・今言われている「国家公務員給与法」改正は、その一里塚です。
日銀法改正→どの条文を改正するかは、上念司『日銀貴族が国を滅ぼす』をどうぞ。
は考えているでしょうね。
白川の首を差し出さないような民主党と連立したら、みんなの党は終わりなので。

 さらに
法相問責決議→当然の制裁でしょう。ついでにシンガンス問題も蒸し返せばよい。
宮内庁法八条二項改正→現規定では宮内庁長官の罷免規定がない。
は如何でしょう?

 残された猶予は最大三年。

 いよいよ、白川方明は討伐されるべきである!
その先に羽毛田信吾の討伐がある!