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さて、モリカケ問題で、検察の捜査がどこまで及ぶか。元国税庁長官の逮捕、って検察としては勲章なので、やりがいはあるだろう。それより上は??? この前の丸川珠代質問、明らかに官邸はもちろん、財務省本体を守る儀式だったからなあ。やったら90年代の大蔵省スキャンダルどころではなくなるが。
さて、『検察庁の近現代史』はいろんな読み方ができるのだけれども、150年を通した「検察VS.大蔵省(財務省)」という読み方もできる。『財務省の近現代史』と合わせて読むと、なおおもしろいかも。
第1ラウンド 草創期
薩長閥の牙城の大蔵省に対し、検察創始者の江藤新平が汚職の追及で切り込む。
しかし、江藤は明治六年の政変で失脚、佐賀の乱で斬首。
余話1
検察が官界で注目されたのは、日糖事件。担当検事の平沼騏一郎が荒井賢太郎主計局長から多額の機密費を引き出したので、捜査が十分に行えた。なお平沼が枢密院議長に就任したときの副議長。
第2ラウンド 帝人事件
斎藤内閣と大蔵省に、検察が挑む。通説では「平沼閥の陰謀」だったが、最近の研究では「検察現役の平沼への忖度」という説も。斎藤内閣を総辞職に追い込むも、後任は同じ海軍の岡田啓介。裁判では完敗。
時局柄、「革新」に対抗するために、平沼・検察は、大蔵省など現状維持勢力と妥協。いつのまにか国粋主義者の平沼が親英米派の領袖になっていた。
余話2 昭電事件
福田赳夫主計局長の逮捕など、大蔵省にも事件の余波が。ただ、GHQ内の権力闘争に日本人が引きずられた趣があり、検察と大蔵省が組織だって戦ったのではない。
余話3 金丸事件
検察と大蔵省(特に国税)は蜜月。
第3ラウンド 大蔵省スキャンダル
検察が大蔵省に襲い掛かる。大蔵省から金融監督庁を分離。多くの検察官が天下り。
ただ、検察内部にも捜査消極派がいた。
第4ラウンド? あるいは第3ラウンドに含む?
小泉内閣で財務省が復権。
大蔵省スキャンダルの捜査に消極的だったラインが検事総長への道が開ける。積極的だった派は、はずれる。この前、交通事故起こした石川検事は、総長になれなかった組。
さて、モリカケでは?
ヤバイ!先ずは「財務省の近現代史」から読まないと!
初心者はやっぱり嘘だらけからだよなと思い、保守三部作と併せて扶桑社新書ばかり書棚に並んでいます。いや、お小遣いの関係とか色々……って、むぐむぐ。
財務省と検察、この2冊を読めば、モリカケの裏に潜む抗争も見えてくるってことですよね? 5年ぶり5冊ってことは、一般の方々も、それで読み始めたのかしら?
ちなみに、私が倉山先生の本で最初に手に取ったのは、「増税と政局・暗闘50年史」でした。以前から錯乱さんの報道に違和感を覚えてはいたのですが、素人にはそれ以上踏み込めず。政治に関する基本知識がない状態で読み始めたので、かなり苦労した記憶があります。
それで「初心者はやっぱり嘘だらけからだな」と、冒頭の話に戻るのですが。