「大学では教えられない歴史講義」カテゴリーアーカイブ

城山三郎が美化する官僚とは

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ふとしたきっかけで読んだ『官僚たちの夏』であるが、血も凍った。
 我、件の友人に伝えて曰く、
「あれが理想の官僚なのか?城山三郎は、佐橋滋に個人的恨みがあって、手の込んだ意趣返しとして、ああいう作品を書いたのか?」と。
 友人答えて曰く、
「素直に感動したけどなあ。城山さんの作風から考えてないでしょう。」と。
 私、暗然となった。なぜあれに感動できるのだ?

 以下、城山三郎が美化しているらしい主人公、風越信吾の特徴を挙げよう。

1. とりあえず、社会人として礼儀知らず
2. 政治家に対する矩を超える
3. 大臣の政治介入(=自分が次官になれず)に激怒
4. 業者に対して居丈高
5. とにかく権限が大好き
6. とにかく出世が大好き
7. 労組の委員長として上司の首切りに協力
8. 職務権限を使ってコネを使う
9. 頭を下げるのは嫌いだが、結局は大蔵省主計局に弱い
10.お役所差別の格付け主義者

すべて城山三郎が美化している点なのだが、これらのどこが美徳なのか。

世の勤め人に城山作品が受けるとはどういうことなのか。

 『官僚たちの夏』をまじめに読んでみてそれなりに調べてみたが、城山三郎という人の影響力、かなり大きいではないか。

しかも、

彼の主張が、特定の人たちの既得権益にとって非常に都合が良い

と言うことも見えてきた。それは、まじめに大学で勉強して、まじめに社会で働いているだけでは絶対にわからないことでもあるのである。(つづく)