六条と七条は専門的すぎる技術論で難しすぎるので、先に八条。
「国家緊急事態条項」を盛り込むべきだ、と主張している方とは是非、帝国憲法八条、九条、十四条について、しっかり議論したいものです。
天皇は公共の安全を保持し又は其の災厄を避くる為緊急の必要に由り議会閉会の場合に於て法律に代るべき勅令を発す。
此の勅令は次の会期に於て議会に提出すべし。若議会に於て承諾せざるときは政府は将来に向て其の効力を失うことを公布すべし。
帝国議会を議会に変えただけです。松本案では変えず、佐々木案では枢密院に代わり「憲法事項審議会」による議決としています。
内容に関して、つまり「緊急時には議会に諮る暇がない」という前提の制度です。
今次大震災の民主党政府の醜態とか見てると、国民に丸投げする「呼びかけ」ではなく、統治者が責任を負う「命令」の体系を考えておかねばならないと思う。
誰がこの緊急勅令を発するかという話ですが、戦前の枢密院の機能は参議院の緊急集会が吸収していて、それは悪くないです。
しかし、関東大震災のように枢密院が召集できない時もあります。
緊急集会すら開けない時も想定すべきでしょう。
戦前も戦後も、総理大臣が欠けていた場合もありました。
憲法たるもの、2.26事件のような政府機能が麻痺する事態も想定しなければなりません。
ちなみに、今の日本政府も十分、「政府機能の麻痺」に値します。
「誰が」の話に関しては、細かい規定は法律で定めることにして、究極的には
「日本国の本来の統治者である天皇が」
という原則を変えてはならない、というのが、散々対立した松本・佐々木両博士の共通見解です。天皇こそ、日本を守る究極の安全保障機関です。
難しくてわからないという人は
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それにしても案の定、宮内庁は女性宮家に旧皇族の配偶者を入れない気、満々ですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111202-00000090-san-pol