帝国憲法物語〜第二章

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 先日のサイン会、告知期間がほとんどないのに、満員御礼の盛況でした。
 ありがとうございます。
 最近は若い参加者が増えているのですが、今回はなんと10歳の女の子が(山本権兵衛が戦場に出た年だ)。

 メモ帳に「けん法とはれきし」と書いていたのが印象的でした。

 

帝国憲法物語〜第二章
かくて帝国憲法は産声を上げた

 松平慶永や山内豊信らは、ほどなく退場していく。彼らは賢侯と呼ばれるだけの識見を有していたが、ただそれだけであった。彼らはそれなりの識見を有していたが、ただそれだけであった。
 「現実的」とは、えてして大勢順応妥協的になりがちだ。その「現実的」姿勢が結局、国家を破滅に導くことは往々にしてある。なぜならば、現実が大劣勢の際に最善手だけを着手し続けても、破滅するだけだからである。
 敗勢の局面において必要なのは、劣勢の現実に耐え続け、最初の好機が到来した際に勝負手を打てるかどうかである。「現実的」な人間には、勝負はできない。たとえば、「いまだ最大派閥の領袖である徳川慶喜を抜きにした政権は“現実的”ではないから、慶喜中心の雄藩連合政権を作ろう」といった具合に。
 いつの時代にもいる、この種の主張を繰り返す御仁には、その「現実」を打破しなければ破滅するという「現実」が見えていないのだ。
間違いなく、大久保利通には正しい「現実」が見えていた。岩倉や西郷らには、いかなる至難の道であろうと、それしか方法がなければやり遂げるという、強固な意志があった。真の現実主義者とは未来が見える人物なのだ。

 なぜ、憲法の本でこんなに涙が出るのか?

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