前回までの風越の暴虐振りが、今回はなりをひそめている。嵐の前の静けさか?
今回は日米電算機交渉が話題。原作にもないし、TBS自身が「フィクションであり、別の人の話を風越に仮託している」と断っているので、なんとも言いようがない。
ちなみに日米貿易摩擦は長らく懸案となるが、ひとつだけ基礎知識を。アメリカ側から見ると、対日交渉の担当になると出世コースからはずれるのである。理由は、成果が出せない=日本との交渉で良いようにやられるからである。最近だとヒルズ通商代表が典型。と、大学院で別の学部の授業で習ったのが懐かしい。
ドラマでは話を単純化するために、池内総理(池田勇人)と須藤通産大臣(佐藤栄作)の対立を強調しているが、このときの佐藤は兄の岸信介とともに池田の自民党総裁(つまり総理大臣)当選に尽力している。
ドラマでは池内が強面の悪役、須藤がひ弱なインテリに描かれている。北大路欣也のイメージは、「政界の団十郎」と言われた佐藤栄作に近いかも。実際の佐藤は威圧感たっぷりで、かの田中角栄も佐藤の前では常に直立不動だったとか。他にも失態をしでかした大臣が土下座して許しを乞うたとか逸話は多い。ドラマの須藤は風越に振り回されている可愛そうな人として描かれているが、現実の佐藤栄作はあんな人ではない。
ちなみに風越、総理の命令に「お断りしてもよろしいでしょうか」「あの人のやり方を認めるわけにはいかない」などと駄々をこね、腹心の部下にまで「それはまずいんじゃないでしょうか」とさすがにたしなめられている。
風越よ、それを言うなら辞表を提出する覚悟で言いなさいよ。部下だけに泥をかぶせるのはいかがなものか。