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TBS版「官僚たちの夏」は来ない 第二回 前編

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今回は、テレビ機の開発のお話である。
 前回までと同様、
とりあえずアメリカが嫌い。
ついでに大蔵省も嫌い。
という訴えはよくわかるのだが、
さらに、
通産官僚は未来の、そのまた未来をも見通せる!
と、予言者ぶりはエスカレートし、
 その上、
通産省は企業の父親的存在である!
自由経済などもってのほか!
などという、強烈な主張も加わるのである。

 さて、前回から爆発気味の反米ナショナリズムであるが、今回も
「日本人としての意地」
「アメリカに何を言われようと聴く必要がない」
などという台詞が連呼され、果ては池田勇人こと池内大臣に
「今夜はアメリカの悪口を肴に酒を飲もう」
などと言わせている。
 通産省の敵は、日本人の敵らしい。
 ついでに減税をしない大蔵省主税局や、大蔵事務次官の天下り先の大銀行は悪者である。
 この当時のアメリカの日本に対する態度に対し必要な限りの批判なのは確かだろうが、ではソ連はどうなのか。ソ連に対して何も言わずに同盟国のアメリカだけを攻撃するのは公平を失していないだろうか。
 ただ、この番組が、ソ連などという国が存在しない、パラレルワールドの話だというなら別だが。。。今後、番組でどれほどソ連への対抗ナショナリズムが出てくるのかが気になるが。

 それはさておき、当時の通産官僚の予言者ぶりである。
「テレビの次はコンピューターの時代が来る」と断言し、
民間企業に対して業種転換をすすめるのである。
 中国共産党が見たら泣いて喜びそうな内面指導である。
 いつから日本の官僚は、民間企業の経営方針(しかも社運をかけた商品開発)に口を出して良いのだ?
 初回放送でもそうだったか。。。

 これに対して、社運を賭けてテレビ開発をしていた社長の一言。
「やがて来るテレビ時代の次にコンピューター時代が来ると言われても、いつ来るか想像もつきません」
 当然である。銀行から借金をして商品や技術を開発してきた彼らが、そのような予言を信じて会社の命運を賭けるわけにはいく訳がない。
 コンピューターどころか、テレビの普及すらまだ海のものとも山のものともわからない時代の話なのである。

 しかし、本作の通産官僚の皆さんは言い切る。
「信じてください!通産省は味方です!」
 やたらと町工場のような中小企業と仲が良いのは気になるが、通産省を褒める人でも、大企業だけでなく、中小企業をも目配りしていた点を賞賛しているのであって、大企業を無視するのはいかがなものだろうか。

 これでは現在の経済産業省の立場としても困るのでは?