「憲法無効論」カテゴリーアーカイブ

いいかげん桜を振り返りケリをつける

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 なんか気が進まなかったのですが、リクエストが意味不明に多いので先日の「桜」の討論を解説しておきます。
番組見てない人や興味がない人は読まなくて良いです。
書いてる本人が相手にするのも馬鹿馬鹿しいと思っているくらいなので。
一応、発言時間とかは確認しましたが(苦痛だった)、ほぼ適当なのでその前後を見てください。

 番組開始前、司会の水島社長から「発言は1人3分くらいでお願いします。多少のオーバーはやむを得ませんが」の注意。
その後、「サヨクを呼んだら延々と話し始めたので制したら、『言論弾圧する気か』と言い出して結局23分しゃべられました」と、だから皆さんの良識にお任せしますの意味の念押し。
⇒これを聞いてて南出弁護士、30分25秒みたいな発言をできるのだからたいしたものだ。

 さて、以下は流れに沿って(数字は開始から)。
1時間目
2分40秒 水島「まず3分で日本国憲法とは何なのかについて」。
3人の長老先生がほぼ守って、
10分12秒 問題の南出弁護士「学術的理論的専門的に厳密に」などと延々と自説。
17分30秒まで。
ちなみに、13分10秒くらいから学説整理の表(事前にスタッフに提出していないのであわててコピー)を持ち出していますが、そういうものにその説の代表的論者を記入していない時点で不可です。学部生なら許されますが、院生なら説教。
ちなみに憲法学者は少しずつ言うことが変わるので、暇さえあれば細かく分類するのは誰でもできます。
だから、大雑把すぎず、細かすぎずの整理が求められるのです。

 2人挟んで、
24分15秒に私
Q「日本国憲法とは何なのか」
A「落書き」ということの補足を2分で。
その補足の「東大憲法学はカルト宗教の教義」ということを説明しておくと、「東大憲法学は別に学術論争で勝った訳ではないので、完璧な学説を打ち立てたら勝てるというわけではない」ということ。
是非とも新無効論者の皆さんにはこの主張への回答をお聞かせいただきたい。

28分30秒 南出氏「押し付けだとか落書きだとか揶揄はするが学理的学問的な議論がなかった」と言い出す。
(これ、私にけんか売ってますよねえ。最大限に好意的に解釈して、私に「だけ」売っているとは言えなくても。)

 だから、学術論をやるなとは言わないけど、それを完成させれば東大憲法学の八月革命説や最高裁の承認説は滅ぼせるのですか、ということ。
この時点で会話になっていない。
で、30分25秒に「我々は発言の場を与えられなかった」とか言い出す。
⇒番組開始前の水島社長の注意を参照。

 ところが、長谷川先生や古屋先生が「聞きたい」と言い出す。あんな長時間演説すると思っていたかどうかは聞いていませんが。
ちなみに私なら4分で解説できます。
単に「調べました」「誰それがこんなこと言っていました」的な話の紹介がほとんどなので討論のしようがないのだけど(司会が「長いよ」とか「簡単にまとめろよ」と言わない限り、どうしようもない)、長谷川先生なんかあきらかに「好きなだけおしゃべりなさい」というスタンスでしたね。

 南出弁護士の解説、そういうことで基本的に間違えようがない話なのですけど、無効論の最強の論敵である京都学派への言及は一番大雑把でしたね。
曰く、「改正無限界説とは、国体変更でも許されるという説。先祖や子孫を否定してでも、生きている人間は何でもできるという説」と。
それ、補足しないと京都学派(別名・純理派)が過激派に聞こえるんですけど。⇒私の補足。2時間目の30分ころ。
で、京都学派を批判した論理をそのまま自分の論拠にするってどういうこと?二重基準?⇒2時間目9分25秒ころ。

44分30秒ころ 新無効論者として「旧無効論(含・失効論その他)に言及。
あの場では唯一の憲法学者だった私として聞きたかったのが旧無効論との違い。しかも発言が御著書で書かれていたことと違っていたので。
他はどうでも良いから、旧無効論の代表的論者の菅原裕弁護士との違いこそ詳述してほしかったのが、ここだけ「親にとって毒は子供にとって毒」とか、急にたとえ話に走っていた。
この人、弱い論者に関しては徹底的に攻撃するけど、佐々木博士とか菅原弁護士になると急に雑になる。

46分50秒 業を煮やした長谷川先生が司会をはじめてしまう。番組を見直すとすごい表情してる。

 さらに独演会は続き、
47分10秒ころ 帝国憲法76条を持ち出す。
帝国憲法は生きていて、日本国憲法は下位法の条約。帝国憲法に矛盾しない限り、日本国憲法やその他の法令は有効。と、ようやく自説に。
ところで、日本国憲法のどこが帝国憲法に矛盾しないのかがわからん。
結局、それって有効なのでは?(自分でも認めているけど)条約は国内法化の手続きが完了してから有効なので。
ということは「新」無効論は目立つようなことを言っているようで、結局は日本国憲法有効論だと再確認。

49分24秒 明らかに悪ノリした長谷川先生が、「生徒から質問させていただきますwww」とか。
何が“明らか”かがわからない人は⇒56分20秒へ。
南出弁護士、本気にしてる表情でしたな。

 少し渡部先生の出番があって、また南出弁護士。
この頃には「あと〜分」のフリップがスタッフから立て続けに。
挙句には「あと1分」のフリップの後もやめる気配なし。カメラに写るたびに水島社長の憮然顔。
ここまで他人に配慮できない人に「祭祀」とか語って欲しくない。⇒3時間目17分4秒ころ。

50分25秒 再び独演会再開。「ポツダム緊急勅令は生きている」とか言い出した。しかも根拠が占領中の判例。
占領明けの判例で何を言っているかは、私が指摘。⇒2時間目30分ころ。

 で、事実上、7分の自己紹介の後、約28分の演説をさせた後、
56分20秒 長谷川先生の悪魔の一言。

「やっぱり落書きじゃない!?!」

 それでもまだしゃべらせてあげる優しい水島社長。

 1時間目と2時間目の休み時間。
他の出演者から「何なのあのヒト?」とか、スタッフから「もう勝手にしゃべりだして良いです」とか、既にあきれ気分蔓延。
後で聞いたら、南出弁護士を助ける役回りの先生たちまで「もうイイやこのヒト」とかそういう気分になっていたとか。番組中はソッポ向いていたのでよくわからなかったけど。

2時間目
相変わらず独演会。一応、聞かれたことに答えているけど、遠慮など微塵もない。
途中で見かねた水島さん介入だけどお構いなし。

 そして大問題発言。

9分25秒 日本国憲法は条約だ。条約は一方的に破棄できる。
ソ連のスターリンも日ソ中立条約を破棄したし、日本の大平外相も日華平和条約を破棄した。
事情変更の原則が適用できる。

えーーーと。
法律的批判。
事情変更の原則は、当事者の一方の一方的な都合で事情の変更を宣言した場合、国際法違反です(当たり前だ)。
国際法違反を押し通せるならどうぞ。もはや法律論ではないが。
事情変更の原則の条件は色々あっても、基本的には「不可抗力」を証明できなければならない。
ソ連のヤルタ密約とか、日本の北京政府承認とか、不可抗力なのですか?
日本国憲法を遵守しろとはもちろん言わないけど、こんな恥ずかしい形式はお断りですな。
法理論になっていない。

 政治的批判。
もっとマシな先例ないのか?
とか思っていたら、小堀先生が「ヒトラーのヴェルサイユ条約破棄」とか言い出した。
南出弁護士も否定しなかった。。。
なぜスターリンや戦後民主主義やナチズムと同じ事をわざわざやって、国史に泥を塗る必要があるかわからない。
時の政府や特定に政治家がやるのと違って、国家の行為は永遠に残るのですけど。。。

 さらに問題発言。
10分40秒 「日本が日本国憲法を破棄するのをアメリカは邪魔しない」

えーーーーーーと。
アメリカ国内の「ウイークジャパンポリシー派」は根絶されたの?
それなら核武装までいけなくても、日本と東南アジア(旧大東亜共栄圏諸国)が仲良くするのを絶対に邪魔してこないはずだが。
ここだけいきなり「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼」しているので、訳がわからない。
何の根拠があって「アメリカは邪魔しない」と言い切れるのか、法律論だけでは説明できないはずだが、すべて希望的観測に基づいている。
そもそも、この頃になると法律論ではなく政治論なので言及はこれくらいで。

 さらにトドメの問題発言
13分50秒 「平成御真影玉音放送(ビデオメッセージのこと)は緊急勅令」。
根拠は、日本国憲法では自衛隊は違憲だ。
「自衛隊を真っ先に慰労したから国政行為だ。日本国憲法が生きていたらできないことだ。」
とか言い出しましたが、自衛隊って、天皇・皇室と隔絶されていたっけ?
一番どうでも良い例を挙げると、宮中儀式のたびに軍楽隊が演奏してますが。
南出弁護士が自ら挙げた例で言えば、昭和48年増原防衛庁長官内奏事件というのがあります。
自衛隊を率いる防衛庁長官が国民に見えない聞こえないところで天皇に防衛問題に関してお話していますが。
もはや事実関係だけでなく解釈もいい加減。別に天皇と自衛隊は隔絶されてもいなければ、天皇は自衛隊を認めています。
天皇は自衛隊を否定することすらできません。日本国憲法の呪縛によって。残念ながら日本国憲法は生きています。国内法として。

 さすがに聞くに堪えなかったので、誤りを指摘。
15分11秒 私「勅令ではありません。激励権の発動です。この激励権は文明国の通義です」と。

 法律家ならこれで終了なのですが。信者向けに。…次の段落、つまらないので普通の人は読み飛ばしてください。

 緊急勅令は枢密院の承認が必要です。「平成御真影玉音放送(ビデオメッセージのこと)」は枢密院の承認を得たのですか?
枢密院の承認がなかった緊急勅令の例として関東大震災があります。
あの時は枢密院が開けなかったので山本権兵衛首相の責任で処理しました。
では「平成御真影玉音放送(ビデオメッセージのこと)」は?
菅直人首相の責任で緊急勅令を発した?ありえないですね。
ならば陛下ご自身の意思で発した緊急勅令?
勅令には責任が伴いますね。陛下に責任がありますね。
陛下が自らの責任で発したとすれば、政府機能が麻痺した状態と判断して行動したということになります。
(いくら無能とはいえ)現に菅内閣が存在しているのに。
それにも関わらず天皇が緊急勅令を発したとすると、帝国憲法でも日本国憲法でも憲法違反です。
憲法典の制約を破った大権発動です。言わばクーデターです。
正確に言えば「カウンタークーデター(上意討ち)」です。
しかし、その「緊急勅令」の効果らしきものはありません。
天皇は菅内閣へのクーデターに失敗したことになります。
以上、そんなことはありません。妄想です。
法理論では「激励権」の発動です。国民に向けた激励をお言葉にされたので、勅語です。

 簡単に、勅令と勅語の違い。

勅令…命令権限と責任を伴う。裁判規範(是非が裁判で争われる)。普通は行政府が責任を負う。今の言葉で、「政令」。
勅語…命令権限と責任を伴わない。裁判規範ではない(裁判の争いにならない)。今の言葉で「お言葉」。

質問再掲。
「平成御真影玉音放送(ビデオメッセージのこと)は緊急勅令ではありません。激励権の発動です」

お答え。
「解釈の違いです」

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーと。
1時間目の最初に「学理的学問的な議論をすべきだ」とか言ってなかったか?
反撃すると逃げるなあ。

 その後も「緊急勅令と解釈することは可能です」とか言っているけど、できないし、してはならない。

 さらにその後も、延々と憲法新無効論とい関係のない皇室の話とかしているけど、ドーデも良いや。

 見るに見かねて、社長が私に、この日唯一のフリ(1時間目と3時間目は順番なので、唯一)。
30分から3分くらいで問題点列挙。

「学術的議論が重要だとか言っている人が勅令と勅語が同じとか言われても困る」⇒一同失笑。
「スターリンと大平、言うに事欠いてヒトラーが先例だと、議論にならない。他にもっとマシな先例を挙げれない時点で終了」
「占領中の最高裁判例を挙げているが、占領明けの判例はレッドパージ&農地改革訴訟とか、承認説にたっている。証拠の挙げ方が一方的かつ不適切」

 要するに

もっと勉強してから出直してきなさい!

ということ。

 さらに、尊皇家かつ純理派で名高い京都学派総帥佐々木惣一先生の説を国体破壊みたいに印象操作していたので、さすがに補足。

「佐々木説先生は、改正に名を借りた改悪の阻止は憲法典だけではできない。もし日本人が皇室を廃止しようなどと考えたらそれを憲法典では阻止できない。それが事実に基づいた法学実証的議論。ただし政治的にはすべきではない。もしそれをやれば、日本は日本ではなくなる、と述べました」

「できる」と「やるべき」の議論の違い、わかりますかな。
条約(としての日本国憲法)破棄の議論、「できる」は何百歩か譲って認めても、「やるべきではない」ので、運動論として不可。
「人を殺せるor殺せない」の議論と「人を殺すべきor殺すべきではない」はまったく違う話です。
私、改正憲法論には反対ですが、新無効論に批判する資格はないと断定します。
少なくとも佐々木博士の改正憲法論への反駁はまったくできていない。

 百地先生がいてくれたらとも、いなくて良かったとも思う。

38分40秒 もはや何を言い出しているのか理解不能だが、突如として共産党(野坂参三)を褒めはじめる。
社長「参三はイインだけど」と、もう頭抱えている。ご愁傷様です。
あとの時間は他の人で、やっとまともな番組になった。
誰かさん抜きでやればマトモな番組になっただろうに。

3時間目 一人ずつ「日本国憲法をどうするか」。
それぞれ聞かせる話。
件の南出弁護士、祭祀の話。
17分4秒〜21分27秒 短くてこれ。

ようやく回ってきたのが、
33分45秒〜42分7秒 これを含めて私の合計発言時間15分。

「明治憲法は生きているという前提で話をしろと言われますが、明治憲法という言葉自体が宮沢憲法学の呪いの言葉です。 天皇制はコミンテルンの造語だから使うべきではないという保守陣営すら、“明治憲法”などと平気で使っている。これでどこが帝国憲法が生きているなどと言えるのか」

 これがちゃぶ台返しだと理解できなければ、相当に国語力が足りない。というか、もう知らん。
渡部先生や小堀先生の「来なきゃ良かった」って顔や、水島さんの苦笑いとか確認してください。
別に渡部先生や小堀先生を侮辱するつもりはなく、自分だけ物を知っているわかっているなどと威張るつもりもなかったので、
番組中のああいう形であえて自虐的な発言をしたのですが。

 あとの要点は、
「運動論としてそんなにやりたいなら、教科書にしろ。宮沢はそうした」と助け舟を出したけど、嫌味に気づかなかっただろうね。
別に学術的議論を延々とやった訳でもなんでもないということです。
何より、佐々木博士や菅原弁護士は論争に負けてないので、それを忘れてもらっては困る。

「そんなに無効論で通したいなら、王政復古の大号令をどうぞ。
それができないなら、宮沢の手法を逆用して、日本国憲法の改正手続き(96条)を通じて日本国憲法を無効にすればよい」

肝心の質問、日本国憲法をどうするか。
答え。

 殺す!消す!忘れる!

 存在そのものを忘れるまで、50年、100年先の受験生が忘れるまでやってはじめて完成なのです。
以上、南出新無効論など生ぬるいということ。

 ここで長谷川先生
「ひっくりかえすというより、肝心の部分が抜けてたのを補ってくれた訳よね」
それ、フォローじゃなくて、トドメさしてます。

 この後も南出弁護士の独り言。
しかし、私の言う「96条を通じた日本国憲法の無効化」って、意味わかったかなあ。
私、「96条を変えろ」とは一言も言っていないのに延々と96条反対について。
今回、討論どころか何一つ会話にならなかった。
あちらが何一つ答えずに逃げたからなのですが。

48分からあたりの古屋さんや荒谷さんとの話が本質ですけどね。
「立派な憲法典を持っても拉致被害者一人取り返せないのでは無意味」
「自衛隊員25万人のうち、アメリカ軍楽隊より射撃訓練している人がどれくらい?」
とか。

54からまた、南出氏。
もはや何の嫌がらせかわからない。

 南出弁護士の憲法新無効論が運動論として決定的に失敗している理由。

 私が人格も話の内容も行動も徹底的に軽蔑したから!

 ブログ書いててここまで気乗りしなくて不愉快なの初めて。