法制局、解釈変更の経緯の公文書を残さず

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 たまにはド専門の話をしてみる。

<憲法解釈変更>法制局、経緯公文書残さず

 この記事の要点。
・取材者が、内閣法制局に「集団的自衛権解釈変更に至る過程での公文書」の公開を請求。
・法制局は「意見が無かったので、電話で返答した。文書は無い」と返答。
・公文書管理法では意思決定過程の文書は残すよう規定されている。
よって専門家が批判している。

 まず、用語の確認。

公文書(ぶんしょ)…公の機関で作成される効力のある文字で残された資料。普通の国では、現用官庁が勝手に捨てることは許されない。

公文書(もんじょ)…一般化されていない用語だが。公文書の内、取捨選別され、保存されることとなった史料。普通の国は国立公文書館(こくりつこうぶんしょかん)が行う。現用官庁の勝手にはさせない。現用官庁が勝手に選別した文書(もんじょ)を保管だけの期間は、「もんじょかん」にすぎない。

現用官庁…役所のこと。アーカイブでは文書(ぶんしょ)を発生させ使用する役所の意味で使われる。

 次に、現在の運用としては、
・情報公開法があるので、「少しでも責任を問われる可能性のある文書は残さない」
・よって、「公文書管理法の対象になる公文書が最初から存在しない可能性もある」
ということ。

 では、集団的自衛権の解釈変更に関して、
即答で「特に意見なし」「文書に残すような内容は不要」「よって、請求されるような公文書は存在しない」
との説明だが、以下の三つ以外に考えられない。

 一、本当に考えるまでもなかった。→答弁その他、楽勝で乗り越えられると考えた。
二、政権の意思に追随した。→難しい答弁などは後で考えればよいとタカをくくってていた。
三、嘘をついている。

 常識で考えれば、役所が国会答弁にかける労力を考えると、「一」や「二」はありえない。だから、同じく常識で考えれば「三」だと思う。
しかし、内閣法制局の中から内部告発でも出ない限り、証明できない。そして、断定はできない。
法制局の内部告発など、まず考えられないので。

 本来の公文書管理には、今回の内閣法制局のような行動をとった時に、強制力を発揮して調査することも含まれる。
残念ながら、国立公文書館にそんな機能は無い。
正式名称は「こくりつこうぶんしょかん」だが、実態は「こくりつこうもんじょかん」なので。

 では現行法で誰がやるべきか。
内閣法制局を担当する官房長官になる。
あるいは、総理大臣が事の重要性に鑑みて、自ら乗り出しても良い。

 ちなみにブレア以前のイギリスでは、大法官という宮中席次が首相より上の大臣がやっていたくらいなので。

 安倍さんや菅さんに力があってモノが見えているならやるはずだが、如何?